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2022 Jリーグ 第32節 埼玉スタジアム2002 サガン鳥栖戦

2022 Jリーグ 第32節 埼玉スタジアム2002 サガン鳥栖戦

前節はルヴァンカップ準決勝の第2戦同様に大量失点して一方的に負けるっていうあまりよくない試合を見せられ、サポーター的にもストレスMaxな状況ですが、リーグ戦は残り4試合。最終的に何位になるとか、そんなことはもうどうでもよくて、この4試合でどれだけチーム内(監督と選手間)、チーム外(チームとサポーター間)それぞれにおける結束力、信頼感を高めることができるかが来シーズンに向けて重要。

で、それを高めるためには当然「結果」が必要ということで、そこにしっかりコミットすることは重要。とはいえ、目先で何でもいいから勝てば良いというわけでもなく、ここまで2年間で積み重ねてきたものを捨ててまで結果「だけ」を追い求めてもしかたない。「ポジショニング、立ち位置で優位性を獲る」この原則をしっかりチームとして体現しつつ、持っている駒の能力を最大限活かした戦いをしたいところで、この辺はリカさんも難しいマネジメントを強いられる状況だと思いますが今の選手たち、監督含めたコーチングスタッフであれば実現できると信じつつ迎えるホームゲーム。

その対戦相手はサガン鳥栖。今シーズン、アウェーでの対戦はボールサイドにハンパない速度と強度で人を寄せてくる鳥栖の守備戦術に時間と空間を奪われてビルドアップが停滞したところに、トランジションの速度で上回られて 0-1 敗戦。スコア以上にウチがやりたいことをほとんどさせてもらえなかった感の強い試合になってしまいました。

鳥栖の基本戦術は変わらず。本来ウチの基本戦術的には相手がアグレッシブに自陣に入ってきてくれるならそれで生まれたスペースを活かした疑似カウンターが活きるはずなんですが、ここ最近は後ろで繋ぐことに固執しすぎる傾向と、「相手の立ち位置に対して自分たちが優位な立ち位置を素早く獲りましょう」という原則が少し緩くなっている感があって、それで後ろで引っかかって被カウンターから沈むみたいなケースが多く見られます。

これは単純に前にユンカーさんなど一発で何とかできる人がいればよいとかそんな単純な話ではなく、チーム全体として攻守転換速度を上げ、素早く適切なポジションを流動的に獲り続ける運動量と判断力が要求されるもので、その辺がここ数試合低下しているように見える部分。その辺はメンタル面の問題なのか、フィジカル面の問題なのかわかりませんけども、プロである以上はそんなこと関係なくやりきる姿勢、プレーをピッチ上で表現することが重要。そういう試合にできるのか、それが冒頭に書いた信頼関係につながってくると思いますので、しっかり戦って欲しい一戦となりました。

スターティングラインナップ

2022 Jリーグ 第32節 埼玉スタジアム2002 サガン鳥栖戦 スターティングラインナップ(4-2-3-1)

さて今節のスタメンは、最終ライン左から大畑さん、ショルツさん、岩波さん、酒井さん。ダブルボランチに岩尾さんと敦樹さん、左のSHに小泉さん、右に大久保さん、トップ下にリンセンさんを配置し、1トップにユンカーさんを置いた 4-2-3-1 スタート。GKは西川さん。サブには知念さん、関根さん、明本さん、安居さん、江坂さん、松尾さん、そして彩艶さんが控えます。

リンセンさんトップ下とは書きましたが、実際には下記のようにほぼ2トップでの起用。ユンカーさんが前にいつつ、リンセンさんが少し遅れて入ってくるような微妙な縦関係をつくっていたので、↑と↓の中間みたいな感じですね。

2022 Jリーグ 第32節 埼玉スタジアム2002 サガン鳥栖戦 スターティングラインナップ(4-4-2)

小泉さんはインサイドワークしてトップ下っぽく立ち位置を獲りますし、そこを後ろから大畑さんがサポートするような形で左サイドは役割分担がされていました。

で、なんといっても前節途中出場でやっと戦力として稼働状態になったリンセンさんが満を持してのスタメン。ユンカーさんとコンビを組んでこの強烈な外国人2トップがどういう相乗効果を見せてくれるのか、試合前から期待が高まります。

対する鳥栖は、最終ライン左からジエゴ選手、ファン ソッコ選手、原田 亘選手。ダブルボランチに島川 俊郎選手と福田 晃斗選手。左のWBに岩崎 悠人選手、右のWBに長沼 洋一選手。2シャドーに西川 潤選手と菊地 泰智選手を配置し、ワントップに垣田 裕暉選手という並びの 3-4-2-1。GKは朴 一圭選手。

うまく狙いを持ってプレス回避し、相手陣でプレーする時間を延ばせた前半、2得点まではほぼ完璧。終盤押し込まれるも守備破綻はせず守り切っての勝利

鳥栖のファーストプレスは、ワントップの垣田選手が岩尾さんを消しつつ、2シャドーが2CBに対してプレスのスイッチを入れてくるやり方。こういうプレスのかけられ方はここ2試合で散々やられてひどい目にあっているのでここはウチもきちんと対応済み。

というか元々相手が前から出てきてくれるなら相手を自陣に引き込んでスペースを生み出しておいての疑似カウンターってのが元々徳島時代からリカさんがやってた戦い方のひとつなわけですし、実際にそういう前から追ってくる相手を隙間隙間でうまく剥がしてボール前進させるなんてのは昨シーズンも今シーズンもできているときはできていたので、あとはその強度や相手の連動性が予想を上回ったときでも焦らず同じ事ができるかという話。

で、直近2試合はパニクって全然できなくなった結果の惨敗だったわけですけども、広島戦のレビューでも書いた通り、イマイチ狙いが明確に見えない回避の仕方をしてうまく行かずにボールもらう位置がどんどん自陣に下がっていって、結果相手のプレスがどんどんハマりやすくなってしまってミス→轟沈みたいな失敗を今節は起こさないようにできるかは注目ポイント。

スタメンを見る限り、ユンカーさんとリンセンさんで試合立ち上がりに鳥栖が圧力をかけてきた場合の出口は明確。これはウォーミングアップ時に私が観ていた目の前のタッチライン際で、大久保さんが何度かコーチ(仮想酒井さんだろうな)からタッチライン際でパスを受けて(シチュエーション的には背中で相手を背負ったような状況)、それを左足ダイレクトで中央エリア(ユンカーさんやリンセンさんがポジションを獲るであろう空間)に向かって斜めに蹴り込む練習をしていたことからも、CBからの直接的なロングフィード以外に、大久保さんを経由地点にした上で、ユンカーさん、リンセンさんをプレス回避の出口にする策というのは準備されていたのがわかりやすかったです。

で、実際にこの大久保さんを経由地にしたプレス回避に関してはかなりうまくいっていて、ビルドアップ時に酒井さんは2CBの横に残る形で疑似3バック(これはいつもよくやる形)、大久保さんがラインを踏む勢いで幅を獲って、相手WBが出てきにくいエリアでパスコースを確保。前述の通り相手の初期プレスは2CBに対して2シャドーが出てくるため、相手WBの初期配置としてはあまり大外には張れず、中を締めに行く立ち位置。

ここで2CBが相手2シャドーを引きつけておいてから酒井さん→ワイドに張った大保さんと動かすと、相手としては少し遅れ気味にWBが大久保さんに出てくることになります。ここで活きる大久保さんの嫌らしい(褒めてる)ドリブルテクニック。余裕を持ってボールを受けているので前向いて仕掛けまくるし、大久保さんがカットインするとその外側をものすごい勢いで酒井さんがオーバーラップするわ、それを警戒して中を切ると縦に持って行かれるわで、この右サイドの攻防に関しては大久保さん、酒井さんセットで相手を上回ったんじゃないかなと思います。

さらにこの日は敦樹さんも非常にいいタイミングでインサイドハーフの位置に出てきたり、そこから右に流れてニアゾーンを獲りに来たりと相手にとっては非常に嫌なポジショニングができていて、これが相手左サイドを混乱させ、大久保さんがクロスまで持って行くシーンを多く作れた要因かなと。

また、さすがにユンカーさんとリンセンさんの2トップは強烈。この2人、多分ですが守備時は「無理に深い位置まで追うな」「追うにしても内側から外に追い出すように追え」「それ以外はとにかく2人が門になって間を縦に通されない立ち位置だけきちんと獲れ」みたいな指示をされてる(実際にされているかはわかりません)っぽかったですけども、その守備タスクはしっかり果たしていたように見えました。

それにユンカーさんなんかは、小泉さんがボールロストしたときにコケたことで少し帰陣が遅れそうになった時は、本来小泉さんが埋めるスペースに全力でプレスバックしてたシーン(何分くらいかは忘れましたが)もあったので、彼らは決して守備意識が低いわけじゃなく、やれって言われたことはできる人たち。ただ当然、守備に関するプレーは得意じゃないのである程度約束事を決めておいてあげないと周りの状況あまり考えずに前からプレスに出て行っちゃって背中にスコーンと通されるみたいなことになりがち。その点、今節は守備面でうまくこの2人を機能させたんじゃないでしょうか。

ということで、鳥栖が元気なうちは相手が2CBのところまでプレスに出てきたら前述した大久保さん経由の出口で相手の前進してくるパワーのベクトルをズラしたり、あるいは2CBからシンプルにサイドの裏のスペースに蹴って相手ラインを下げさせ、その間に自分たちのラインを大きく上げて陣地回復→なるべく鳥栖陣地にボールがある状態を創り出すということはできていましたし、それが何度かの決定機のあと、40分に生まれたユンカーさんのゴールに結びついた形。

スタートは流れの中で最終ラインに落ちた岩尾さんから絶妙なスペースへのフィードが大久保さんの前面に飛んだところから。ワンタッチでスペースに抜け出した大久保さん、遅れて寄せてきた鳥栖、岩崎選手をあざ笑うかのような股抜きで一気に中央に加速。

この時点でゴール前にはユンカーさんとリンセンさんがしっかり入っていてフィニッシュ体制。大久保さんはわざと少し身体を開いて左足でクロス上げるぞというボディフェイント一発入れてから一気に縦にニアゾーンへ侵入(もうほぼこの時点で勝負あり)。

大久保さんの動きに反応してニアに突っ込んでくるリンセンさん、大久保さんとリンセンさんがニアに相手を引っ張ってるのをみて、スっとバックステップしてマイナス方向でパスを受けられるスペースを作るユンカーさん(もうこの辺の動き方はさすが本職のストライカーといったところ)、これでもかってくらい相手を引きつけたところで大久保さんの右足クロスは、ユンカーさんの足元にドンピシャのマイナスクロス。これをユンカーさんが左足でサクッと決めきっていい時間帯に先制。

ほぼ90%くらいは大久保さんの得点と言ってもいいようなゴールでしたが、ああやっていい崩しが入った時に、ゴール前にフィニッシャーとしての仕事を高い精度でやってくれる人がいることが重要。さすがユンカーさんというナイスゴールでした。

さらに後半立ち上がり、鳥栖陣でうまくユンカーさんが規制かけてパスを戻させたところに小泉さんが素晴らしい連動性でプレス→鳥栖、原田選手が中央に出そうとした横パスを右足でうまく引っかけて(こういう相手のパス引っかけるの小泉さんはホントうまいよね)一気にペナルティエリア内に侵入。GKとの1対1を思い切って左足振り抜いたグラウンダーのシュートは逆サイドのゴールネットに突き刺さってこれまたよい時間帯に追加点。かなり試合を楽にしてくれました。

ただここから一筋縄ではいかないのが鳥栖。56分に一気に3枚交代して(多分現地で観ていた限り)一時的に4バック、4-1-2-3 みたいな感じにしてたんですよね。それで後ろ2枚回し、交代で入った藤田 直之選手がアンカーっぽい位置にいて、SBを高い位置に押し出し、前線に人数をかけることで特にウチのSBのところで優位性作られて少し押し込まれる展開に。

で、多分これはコンディションの問題だと思うので仕方ない交代だった気がしますが、60分にリンセンさん→松尾さんとすると、(松尾さんが悪いわけじゃないんですが)リンセンさんとユンカーさんがいた時に比べて相手最終ライン裏に対する圧力が減退。ボール保持位置が徐々に自陣に偏る流れに。さらに悪いことにこの時間帯に結構単純な縦パスで裏とられて失点、スコア的に1点差になってしまったことで突如ハラハラする展開に。

恐らくこの相手に押し込まれて自陣でプレーする時間が長くなることを嫌って、72分に小泉さん→関根さんとして大久保さんを左に、関根さんを右に配置。さらにユンカーさん→明本さんとして明本さんをトップに置き、彼のフィジカルと勢いで押し返そうとしますが、それでも鳥栖の勢いに押されがち。

で、流れの中で関根さんが酒井さんの脇に落ちる形の5バックへと変更してとりあえずスペースを埋めてやらせない方向へ。この辺のリカさんの指示に関してはピッチ上の選手たちも即座に反応して対処はできていたように見えました。

試合時間も残り少なくなると89分に大久保さん→江坂さん、大畑さん→知念さんとして知念さんを左SBに。江坂さんで前線に溜めを作りつつ時計を進めます。最後はしっかり1点差を守り切って勝利。勝点3をゲットしてくれました。

スコア的には最小得点差、終盤は鳥栖に押し込まれる時間帯もあったので何とか勝ったみたいな印象になりがちなんですけども、一方で前掛かりになる鳥栖を裏っ返して松尾さんのところでGKとの1対1になる決定機を2回作ったのも事実。

このどちらかでもしっかり決めてくれれば、前掛かりの相手にトドメの3点目、4点目ブッ刺してもっと危なげなく勝てる試合になった可能性もあり。なのでネガティブに捉える必要は無いと思いますが、まぁとにかく勝ててよかった。

さて、次はACLの関係で開催がズレていた札幌戦が週明けの水曜日に。札幌戦を入れるとホームゲームが2試合、そしてアウェーでのマリノス戦と、残り3試合となりました。今節勝って、一旦悪い流れを断ち切れたと思いますので、ここから残り3つ、しっかり3連勝してよいイメージでシーズンを締めくくりたいですね。

2022 Jリーグ 第32節 埼玉スタジアム2002 サガン鳥栖戦 試合終了後の様子

あと余談ですが、この日の主審は女性審判員の山下 良美氏でした。女性にしては、とか女性だからみたいな言い方はフェアじゃないのであくまで性別は抜きにジャッジを見た限り、個人的にはファールの見極めもうまいし、選手とのコミュニケーションも穏やかにとりながら、うまく試合をコントロールしていたなと。

一方で見極めようとプレーエリアに集中しすぎるのか、何回か選手が入りたいスペースに立っててそこ邪魔だなって思ったシーンもあったので、ウチや鳥栖のようにかなり柔軟にポジションを動かす、立ち位置で相手を上回りたいチーム同士の対戦を担当するときはもう少し周囲の状況確認を早くした方がよさげ。

ウチと鳥栖の試合は所謂ロングカウンターの打ち合いみたいな、お互いのゴール前とゴール前を縦に速いパスで行ったりきたりするような試合ではないので、主審の走力みたいなものはあまり目立たない試合でしたが、ワールドカップで化け物みたいなフィジカルの選手たちがそういうサッカーやったときにどうなるのかは見てみないとわかんないですね。

でも性別にかかわらずワールドカップという最高の舞台で主審ができるということは本当に凄いことなので、ぜひいいレフェリングをして世界を驚かせて欲しいなと期待しています。

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おまけ

ちょうどタイミング的によかったんで、試合前にワクチン接種してきました。4回目かな。

さいたま市は人口が多いせいもあると思いますが、我々年代(高齢者でも基礎疾患持ちでもない人)に関してはワクチン接種可能になる時期が少し遅いんですが、ちょうど2週間くらい前に接種券だけは届いていたのでここでやってもらっちゃおうぜと一緒に観戦してる奥さんとも相談して受けてきたと。

ちなみに、接種完了後に簡単なアンケートに答えると、粗品としてこの日やってたパン祭り?パンフェス? に出店しているお店のパンがいただけました。なお、本家パンフェスの方は地獄のように並んでいたので早々に辞退。

今までのワクチン接種で副反応っぽい副反応なかったんですけど(ちょっと打ってもらったところが1日痛いくらい?)、今回は試合後に帰宅してから頭痛くなったり、関節がちょっと痛くなったりで、「おぉこれが副反応!」とかいって騒いでました。

試合ハイライト

試合データ

観客: 26,503人
天候: 曇 / 気温 20.3℃ / 湿度 63%
試合結果: 浦和 2-1 鳥栖(前半1-0)
レッズ得点者: ユンカー(40分)、小泉(50分)
警告・退場: -
主審: 山下 良美 氏
順位: 8位(10勝8敗13分/勝点43/得失点差+12)

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